恋路ヶ浜LOVEストーリー

伊良湖岬の先端にある雄大な浜辺には、万葉の時代から恋にまつわる様々な伝説があった。
その浜はいつしか「恋路ヶ浜」と呼ばれるようになった。
現代の恋路ヶ浜に舞い降りた、ある男女の縁結びの物語・・・

(26) KenKen

ぼく、ケンケン。
大阪で保護犬の活動をしている人を介して、やさしい志寿香ちゃんのところで飼われることになったよ。
ぼくは、幼い頃の体験からか、街や人が恐くて、ずっとしっぽをしまったまま、おびえて暮らしていたけど、
峻平くんと志寿香ちゃんが恋路ヶ浜に連れて行ってくれた時、生まれて初めて、思いっきり走ることができたよ。
自分でもよくわからないけど、うれしくて、楽しくて、はしゃがずにはいられなかった。
細胞やタマシイが何かを思い出したように、しっぽを振って、笑わずにはいられなかった。

海も風も砂浜も大好き。
伊良湖岬はいいところだよ!!
遊びに来てね♪

ケンケン

日原いずみ

日原いずみ

1973年2月4日、愛知県渥美町(現 田原市)生まれ
早稲田大学卒業後、テレビ番組のAD、現代美術作家助手などを経て、
処女小説が講談社「群像」新人文学賞で最終候補作となったのを機に執筆活動を中心としている。
著書に『チョコレート色のほおずき』(藤村昌代名義:作品社)、『赤土に咲くダリア』(ポプラ社)がある。

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